Misaki_yuyyuyu’s blog

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星野源『アイデア』を考察してみた

NHK朝ドラの主題歌として起用され、2018/8/19にYoutubeに公開されたのち1か月足らずで1000万再生を突破した星野源『アイデア』について、歌詞とMVから考察を行います。個人の考察です。

www.youtube.com


この作品では3つの二項対立が濃密に描かれています。

①個人的内省としての闇と再生
②日本的文脈としての災害と復興
星野源としての過去と未来

以上3つについて順にみていきます。

①個人的内省としての闇と再生

この曲を聴く一人一人が持つストーリーです。この文脈で歌詞を分類すると、1番の世間に見せる明るく前向きな自分と、2番での自分一人しか知らない闇の部分に分けられます。

世間に見せる明るく前向きな自分(1番)

「おはよう世の中」で始まるこのセクションは星野源らしく、列車や鳥の歌声風の音など、小さな日常の描写がなされます。朝ドラ主人公は聴覚障害を持っており左耳が聞こえません。「すべてはモノラルのメロディー」でしか聞こえませんが、日々を彩るアイデアで前向きに生きている様子が、NHK公式のPVでも表現されています。
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自分一人しか知らない闇の部分(2番)

2番ではpvが暗転し、future bass的なサウンドに変わります。
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「おはよう真夜中」はなかなかキャッチーなフレーズですが、深夜目を覚まし自分を苦しめる化物(精神的葛藤)におはようといったところでしょうか。世間では見せることはできないけれども、誰もが抱え、一生解消できない闇があります。その後場面が一転し、ランプに明かりが灯ります。星野さんにとってそれは音楽で、鈴愛にとって絵だったのでしょう。
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また闇は時に怒りに変わることもあります。「にこやかに中指を」の部分で画面が真っ暗になるところが印象的です。綺麗に生きてるように見える人でも、闇を抱えてたり心の中で中指立てることがあるかもしれない。それでも誰も傷つけてはいなくて、踏まれた花のように美しい。
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次のソロパートでは、「生きる」ただそれだけで奏でる歌があるといっています。2番の「生きて、ただ生きていて」の部分ともつながります。生きることそれがただ尊くて、価値などは後付けでしかない。
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②日本的文脈としての破壊と復興

このPVでは日本的なモチーフがいくつかちりばめられています。
紅白のストライプ
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礼服のダンサー
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渋谷のスクランブル交差点など。
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歌詞では日本的な要素は特にないので、pv製作途中で追加されたものだと思います。あまり国を全面に出すと重くなるので、ここは曖昧な演出となっています。もしかしたら国家的要素はただのギミックかもしれません。

喪服のダンサー(第一部)

初めて見たときAkb48の風は吹いているかを思い出しました。
最初のダンスでは葬式での動作「香典を出す・お焼香・出棺・火葬場に棺を入れる・骨を拾う」が再現されているようです。
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焼香
個人的内省としての闇、日本的文脈としての災害、星野源としての過去との決別を表しているのでしょうか

最後のダンス 左手

ラストのサビの繰り返しでは大勢のダンサーが軽快に踊っています。ただし左手はずっと心臓をかばうように抑えられています。
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過去との決別を行い、軽快に踊ってるように見せるものの、過去自分がもがき苦しんだ記憶は絶対に忘れないという意思表明なんでしょうか、ここも文脈次第です。

星野源としての過去と未来

過去

YELLOW DANCER
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family song
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ドラえもん
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未来

白いキャンバス
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おわりに

以上見てきたようにリスナー個々人の人生の曲であり、日本の曲であり、星野源の曲であるこの曲ですが、いずれの場合も復活の曲であります。この曲のyoutubeコメント欄に先日の北海道地震に遭われた方のコメントが多かったのも印象的でした。

個人的には、内省的な文脈として取った場合、ニーチェの『ツァラトゥストゥラ』の
「きみは、きみ自身の炎のなかで、自分を焼きつくそうと欲しなくてはならない。きみがまず灰になっていなかったら、どうしてきみは新しくなることができよう!」という言葉を思い出しました。