Misaki_yuyyuyu’s blog

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クローニッヒ・ペニーモデル

周期ポテンシャル中でのバンド図でエネルギーギャップが存在することを理解するために以下のモデルを考える。
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周期ポテンシャルをもつ結晶のポテンシャルは実際上図黒線のような形をしていると考えられるが、数学的簡便さのためここでは赤線の箱型ポテンシャルをモデルとする。
クローニッヒ・ペニーモデルからの分散関係の導出は
①ポテンシャル中の波動関数の定義・境界条件
②波数Kが満たすべき条件の吟味
③バンドギャップ生成の確認
の手順を追って行う。


①ポテンシャル中の波動関数の定義・境界条件
電子の質量をmとすると波動関数とエネルギーの間には0<x<aのとき(ピンク)
{\displaystyle
\psi_{II}=Ae^{iKx}+Be^{-iKx}\\
\varepsilon=\frac{\hbar^2K^2}{2m}
}
が成立する。


一方、その左隣の-b<x<0の領域では(水色)
{\displaystyle
\psi_{I}=Ce^{Qx}+De^{-Qx}\\
U_0-\varepsilon=\frac{\hbar^2Q^2}{2m}
}
の等式が成立する。


また周期ポテンシャル中を動く電子の波動関数ブロッホ関数であるので
{\displaystyle
\psi_{III}=\psi_{I}×e^{ik(a+b)}
}
のように、距離a+bに応じてexp(ik(a+b))が位相項として波動関数に積算されている
つまりa<x<a+bの領域においては波動関数は(青)
{\displaystyle
\psi_{III}=(Ce^{Qx}+De^{-Qx})×e^{ik(a+b)}
}
となっている。


最後にそれぞれの領域の境界での接続条件は
{\displaystyle
\psi_{I}(0)=\psi_{II}(0)\\
\psi_{I}'(0)=\psi_{II}'(0)\\
\psi_{II}(a)=\psi_{III}(a)\\
\psi_{II}'(a)=\psi_{III}'(a)
}
変数A,B,C,Dが非自明な解を持つためにはこの方程式が作る行列の行列式が0になればよく、ここから
{\displaystyle
\frac{Q^2-K^2}{2QK}sinhQbsinKa+cosQbcosKa=cosk(a+b)
}
が得られる。




②波数Kが満たすべき条件の吟味
条件が複雑なため、簡便のためポテンシャル障壁の厚さを0に近づけ、ポテンシャルの高さを無限に近づける。
つまりポテンシャル障壁をデルタ関数的に変化させる。(b→0,U0→∞,Q>>K,Qb<<1)
このとき先の式は
{\displaystyle
\frac{P}{Ka}sinKa+cosKa=coska\\
(P=Q^2ab/2)
}
まで簡略化できる。

例えば
{\displaystyle
P=\frac{3\pi}{2}
}
のとき、
{\displaystyle
\frac{3\pi}{2Ka}sinKa+cosKa=coska
}
となる。
しかし右辺が-1~1を動くのに対し、左辺の絶対値は1を超えることがある。
この場合左辺の値を満たす実数kは存在しない。
kはブロッホ関数で登場したkであり、進行波の波数を表していて、kが存在しないということは進行波が存在しないということである。
したがって、左辺の絶対値が1を超える領域では結晶中の進行波が存在しない。
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これを図で表すとこのようになる。
y=-1とy=1に囲まれる領域にグラフが収まっているとき進行波つまり波数kが存在する。
x=0,pi,2pi付近ではグラフが領域からはみだしているため波数kが存在しない。
これが周期ポテンシャルによってバンドギャップが生じる理由である。



③バンドギャップ生成の確認
では例えばx=piで実際にバンドが開いてる様子を確認する。
x=π付近でグラフとy=-1は二点で交わっているが、このときのKaの値は
Ka=3.14とKa=4.71である。ここで
{\displaystyle
\varepsilon=\frac{\hbar^2K^2}{2m}
}
の関係を用いると、これら2つのKaに対応するエネルギーは
{\displaystyle
\varepsilon=\frac{\hbar^2}{2ma^2}(3.14^2)
}
{\displaystyle
\varepsilon=\frac{\hbar^2}{2ma^2}(4.71^2)
}
であることがわかる。
そしてKa=3.14とKa=4.71に対応する進行波の波数kは、いずれもk=π/aである。
そのため一つのkにエネルギーが二つ存在し、以下に示すようなエネルギーギャップを生む。
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